きゅうり

 

盛々夏野菜のハードエッセイ & ショートストーリー 【思想、心理、書評、劇評、感想、あらすじ】
 

 

 
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義信(うぃしん)さんは本作でついに喜劇の新しいジャンルを確立したのではないだろうか。すべての要素が義信さんのカラーに染まっている。

(1)必ず三回繰り返すギャグ。この三回を一ユニットとするギャグの集中砲火が、手を変え品を変え、一幕全体にわたって延々とつづく。

(2)「泣く子も黙る大女優」麻実れいに、一幕でコミックソングを熱唱させたかと思えば、二幕では狂気の高速ステップを踏ませ、喜劇俳優としての資質を120パーセントひきだした。かくもはじけっぱなしの麻実さんを観る機会はまたとないだろう。

(3)老いも若きも、俳優たちを容赦なく全力疾走させる。本当に肩で息をする様子がギャグになっているほどだ。

(4)義信組(うぃしんぐみ)の俳優は物を食べながらセリフを聞かせることができなくてはならない。沢村一樹と麻実れいは、ともにかけそば一杯を食べるあいだしゃべりつづけるし、終幕では全員で本物の「おはぎ」をほおばりつづける。

(5)俳優たちは、たびたび芝居を中断し、立ち止まり、真顔になって「ぼやき」はじめる。俳優の私生活にまで踏み込む会話の徹底ぶり。

名作『焼肉ドラゴン』や『パーマ屋スミレ』では、こういう場面が芝居の「スパイス」として効いていたものだ。しかし本作では完全に攻守が逆転し、ドラマの筋立てよりも、明らかにこっちのほうが目的になっている。
スケールの大きな喜劇だ。作劇のテクニックから俳優の生理にいたるまで(後者にかける情熱は日本の演出家の中でダントツであろう)、演劇という芸術がもっているありとあらゆる要素を駆使し、一瞬たりとも退屈することを観客に許さない。いまや日本を代表する劇作家・演出家の一人として、おしもおされぬ存在となったかれの、プロとしての自負と、徹底して泥臭い芝居づくりにこだわる現場感覚に感動をおぼえた。『焼肉ドラゴン』『パーマ屋スミレ』を観たときよりも、いっそう深く、しみじみと思った。鄭義信は偉大だと。

アトリエ・ダンカンプロデュース「しゃばけ」 
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Author:盛々夏野菜

男性、既婚、事務系サラリーマン。
現代思想フェチだが、本を読むのが遅いのであまり多くは読めない。地底人生活を経て現在は臨床心理に関心がある。新鮮な胡瓜が好き。
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